東京都荒川区|やじろう 日暮里本店|食べごたえ&満足感満点!肉厚な手羽先唐揚げ「やじてば」
手羽先唐揚げが名物の『やじろう 日暮里本店』
株式会社ニチレイフーズが昨年おこなった「全国から揚げ調査2021」によると、唐揚げの中で好きな部位のランキングは、1位:もも(85.6%)、2位:むね(47.0%)、3位:手羽先(38.7%)となっています。王道唐揚げでは外せないモモ肉やムネ肉に次いで、手羽先が3位にランクイン。ゼラチン質や脂肪が豊富でコクと旨みもあることから、唐揚げだけでなく焼き物やダシに使われることの多い部位です。50年以上前から食べられてきた手羽先唐揚げは根強い人気があり、私の周囲にも熱烈な“手羽先派”がいるほど。名物メニューとして手羽先唐揚げを提供しているお店も多数存在するほどです。
今回お邪魔したのは、その手羽先唐揚げを名物とする『やじろう 日暮里本店』。JR日暮里駅・南改札口を出て徒歩1分ほどにあるお店で、からあげグランプリ・手羽先部門での金賞受賞歴もある実力店です。いただいたのは名物「やじてば」(1本・198円)。1本からオーダーできるため、5本頼んでしまいました。オーダーから5~6分で、ほんのりスパイシーな香りとともに「やじてば」が登場です。
肉の旨みとオリジナルスパイスが味に深みと奥行きを出す
一般的な手羽先よりもやや大きめの印象です。しょうゆベースの甘辛いタレを軽くかけ、そこにオリジナルのスパイスをふりかけています。このスパイスの香りがなんとも言えず、食欲を激しくかきたてます。タレがかかっているせいか、衣はパリッとした歯ざわりの中にしっとり感あり。この食感が心地いい。その衣を歯が突破するとビックリ、なんと肉厚なことか!ここまで肉厚な手羽先は滅多にお目にかかれるものではありません。全体的にフワリとしたやさしい口あたりです。
モモ肉よりもゼラチン質が多いのがわかります。肉汁とともにあふれてくる旨みにかすかなとろみ。それが舌にガッチリはり付いて離れないような感覚があり、そこにさらに次の手羽先の旨みがおおいかぶさります。まさに旨みの蓄積で、ドリンクなどで流し込むのがもったいないと思えてしまうほど。コクのある肉の味わいに、タレやスパイスの味が徐々にブレンドされていき、食べれば食べるほど美味しさにも深みと奥行きが出てくるようです。
大ぶりな手羽先ですが、1本を完食するのはあっという間。満足感がピークの状態での完食ほど恐ろしいものはありません。たまっていたものが噴き出してしまったように、食欲が制御不能に陥り、気が付けば次の1本にかぶりついている私。骨からはがれない少量の肉も残すのが惜しい気持ちになって、前歯の先でチョイとひっかけてのどの奥へ。ちょっとカッコ悪い食べ方かもしれませんが、こんな美味しい肉を残すほうが罪というものでしょう。
スパイスの存在感際立つ!モモ肉の唐揚げも絶品
さてこちらにはモモ肉を使った「鶏の唐揚げ」(539円)もありますが、これまた絶品。あっさりめの味付けですが、肉の旨みがほどよく感じられます。これもオリジナルスパイスがいい仕事をしています。
このスパイス、手羽先を食べたときにも感じましたが、ピリッとくる刺激に襲われるかと思いきや、唇と舌の先をチラッとかすめる程度で肉の味を阻害しません。ほどよい刺激で、むしろ味覚がより鋭敏になるような気にさえなってきます。「数種類のスパイスを当店で独自にブレンドして作ったスパイスです」と店主の近藤良さん。脇役的な位置づけながら、食欲のストッパーを屈服させてしまうほどの見事な存在感です。
食べ終えてお店をあとにしても、しばらく口の中にこの美味しさが残っていました。余韻を楽しみつつも「もう少し食べておけばよかったかな…」と思わせてくれる唐揚げです。
(取材年月日:2022年2月26日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。