東京都渋谷区|楽椿|食べ始めれば完食必至!「大名物」と言われるひな鳥の半身揚げとは
「裏渋谷通り」にある半身揚げの名店
JR渋谷駅から道玄坂をあがって、交番のところから右の脇道に入ると、そこは「裏渋谷通り」と呼ばれるところ。隠れ家的なバーや、古民家をリノベーションしたカフェや居酒屋が建ち並び、大人の雰囲気が漂う落ち着いたエリアです。
今回のお目当てのお店『楽椿(らくちん)』も、そんなオシャレ感あふれる通りにあります。こちらの名物はひな鳥の半身揚げ。半身揚げはモモ、ムネ、手羽先、手羽元、ササミなどいろいろな部位が楽しめる一方で「ボリュームがあってひとりでは食べられない…」という声も聞きます。さて、こちらの半身揚げはどんなものでしょう。
自信のほどがうかがえる!「大名物」の半身揚げとは?
メニューに「当店大名物」と書かれた「ひな鳥半身揚」(858円)。「大」の文字が強調されているところに自信ほどがうかがえます。白(旨塩コショー)と赤(旨唐辛子)の2種類の味がありますが、私は白をオーダーしました。
通常の半身揚げはそのサイズから、20分前後の揚げ時間を要しますが、その半分ほどの時間で登場します。こちらはひな鳥なのでやや小さめサイズということもありますが、200℃の揚げ油で一度揚げておき、オーダーが入ってからもう一度揚げる、いわゆる「2度揚げ」されたもの。いずれにしても短い待ち時間で食べられるのが嬉しい限りです。
さっそくいただきましょう。まずは定石通りムネ肉から食べてみましたが、これがムネ肉とは思えないほどの柔らかさ!軽く歯を入れただけで、表面の皮から肉までが「サックリ!」と噛み切れてしまいます。なんとなく熟成された肉のような風味と旨みも感じます。肉汁も多く、旨みもしっかり。美味しいムネ肉です。
手羽元はムネ肉よりもトロリとした舌ざわりがたまらない味わい。ホロリホロリと骨から肉が離れていく、そのリズム感が楽しい。手羽先は小ぶりながら、食べてみればけっこう肉厚感があります。こちらも骨ばなれ良好。肉汁とともに口の中に肉が飛び込んでくる印象で、油断をしているとその味を楽しむ間もなくのどの奥に消えてしまいそうになります。
歯の神経までもKOされてしまいそうなモモ肉の旨み!
そしてモモ肉。これはもう言うに及ばぬ美味しさ!こってりとした旨みが口中に充満します。肉に歯を入れたときの、沈みゆく感触がほかの部位とは明らかに違う!じわじわと旨みをしぼり出しながら、歯の神経までも揺さぶるような深い味わいに包まれます。たっぷりの肉汁が唇の端からこぼれそうになりますが、これもまた一興。
全体的にほんのりスパイシーで、とくに骨の周辺は旨みが強くて激ウマ。しっかりと揚げているので、小さい骨ならばバリバリと食べることができます。やはり肉は骨付きが一番ウマい!とあらためて実感できた半身揚げでした。
半身揚げはひとりで完食する自信がない、という人も多いでしょう。しかしこちらの半身揚げならば大丈夫なんじゃないでしょうか。食べ始めると無言になってしまうパターンの半身揚げです。気づいたときには完食してしまっていた…なんてこともあるかもしれません。短い待ち時間でサッと食べられる半身揚げ、手軽感もあっていいですね。ちなみに私はこの半身揚げ2人前で生ビール2~3杯いける気がしています。
(取材年月日:2023年9月21日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。