海外の唐揚げを食べてみよう!種類豊富なスペインの唐揚げ4選

 

唐揚げといえば、日本では鶏の唐揚げが定番ですが、他の国にはどんな唐揚げがあるのでしょう?
スペインはオリーブの生産量が世界一の国で、料理にもオリーブオイルを使ったものが多く存在します。
というわけで、今回はスペインで愛されている唐揚げ料理を4品ご紹介します。
最近では日本にもバル(スペイン風の居酒屋)が増えてきたので、これからご紹介する料理を見かけた際はぜひ注文してみてください。

そもそも唐揚げとは?日本における唐揚げの定義

日本の唐揚げの定義は、
・油で食材を揚げたものであること
・揚げる際に食材に小麦粉や片栗粉をまぶすもの
という条件があるようです。
スペインにはたくさんの揚げ物料理がありますが、今回はこの唐揚げの定義になるべく沿ったものをご紹介します。

フリート

スペインの揚げ物料理の中でよく知られているのが「フリート(フリートス)」です。
「フリート」はスペイン語で「揚げる」という意味であり、英語では「フリッター」と呼ばれる料理と似ています。
実はこのフリート、鶏肉よりもイワシやタコなど海産物を食材にすることの方が多いようです。スペイン料理のお店でメニューを見てみると、「タコのフリート」や「イワシのフリート」といったメニューをよく見かけます。スペイン料理のレストランに行った際は、メニューを見てみてくださいね。

 

なぜ鶏肉ではなく魚介類のフリートが多いかというと、そもそもスペインでは肉料理は煮込みかローストで調理する方法が一般的だったためと思われます。
しかしスペインによる統治時代があったためブラジルやメキシコにもフリートは伝わり、そちらではむしろ鶏肉を使った「ポジョ・フリート」が有名です。
また、アンダルシア地方では鶏肉のフリートもよく食べられているようです。

骨付き鶏のフリートアンダルシア風。日本のフライドチキンに似ていますが、スパイスの風味がきいています。

骨付き鶏のフリートアンダルシア風。
日本のフライドチキンに似ていますが、スパイスの風味がきいています。

フリートの作り方はとても簡単で、家でも作ることができます。
鶏肉あるいはイワシやタコ、イカなど魚介類を食べやすい大きさに切って水気を取り、塩こしょうで下味を付けた食材に薄力粉をまぶします。その後、溶き卵にさっとくぐらせて、180度に熱したオリーブオイルで揚げます。
オリーブオイルで揚げると衣がサクサクになるので、「一風変わった唐揚げが食べたい」という時にいかがでしょうか?

エスカベーチェ

フリートよりも唐揚げに近く、後に日本にも持ち込まれた料理が「エスカベーチェ」です。鶏肉や魚を唐揚げにしたあと、軽く炒めたパプリカやタマネギと一緒にマリネ液で酢漬けにする料理です。
日本では「南蛮漬け」として有名ですね。南蛮漬けは米酢に漬けることが多いでしょうが、スペインでは主に白ワインビネガーを使います。
白ワインビネガーはドレッシングやパスタソースにも使えて、最近ではスーパーでも取り扱っている店の多い調味料です。スペイン風の南蛮漬けが食べたくなった際は探してみてください。

アドボ

エスカベーチェは食材を唐揚げにしてからマリネ液に漬け込む料理でしたが、アドボはマリネ液に漬け込んでから唐揚げにする料理です。
「アドボ」といえば、フィリピンにも同じ名前の料理があり、こちらは鶏肉や豚肉を酢と一緒に煮込んだ料理です。これも中南米のフリートのように、スペインの統治時代にフィリピンに伝わったものが元になっています。
本場スペインのアドボはフィリピンのものと同じく煮込む調理法のものも存在しますが、他にも唐揚げにするものもあります。
アドボのマリネ液はニンニクやスパイスを入れるため、エスカベーチェの味付けよりも濃厚な味わいになり、マリネ液によって肉が柔らかくしっとりとするので普通の唐揚げとはまた違った食感が楽しめそうですね。

ブニュエロ

揚げるときに小麦粉をまぶしていないので、厳密には唐揚げの定義から外れてしまうかもしれませんが、「ブニュエロ」もスペインで愛される揚げ物料理のひとつです。
魚介類をすり身にしてじゃがいもと混ぜて揚げた料理で、フリートと同じく様々な魚介類で作られます。
代表的なものはタラのブニュエロですが、バレンシア地方では魚介類を混ぜずに甘い生地のみを油で揚げて砂糖をまぶしたものも食べられているようです。
タラのブニュエロは、日本でもバル風レストランのメニューによく登場します。見つけたらぜひ試してみてください。本場のスペインでは塩漬けにしたタラのすり身を利用して作るのですが、タラの風味と塩みのきいた味わいがワインにぴったりです。

タコのブニュエロ。じゃがいものほくほくとした食感とタコの香りと風味がよく合うおつまみ的な一品です。

タコのブニュエロ。
じゃがいものほくほくとした食感とタコの香りと風味がよく合うおつまみ的な一品です。

甘いお菓子としてのブニュエロは、中に好きなクリームを詰めることもあるそうです。揚げたシュークリームといった感じでしょうか。バレンシアでは火祭りの季節限定で売られるお菓子だそうですが、ホットケーキミックスがあれば日本でも簡単に自宅で作れます。
本場バレンシアではこの甘いブニュエロをホットチョコレートと一緒に食べるそうです。甘い物好きな方にはたまらない組み合わせですね。

日本とスペイン、唐揚げの共通点は「お酒に合うこと」

スペインではバルのはしご酒を楽しむ習慣があります。ひとつの店に長居せず、お酒と料理を少し頼んで、食べ終わると次の店へ向かいます。
そんな食文化の中で愛されてきたスペインの唐揚げ料理は、もちろんお酒にぴったりのおつまみです。
日本では唐揚げに組み合わせるお酒はビールが多いかもしれませんが、スペインではビールのほかにも「カヴァ」という微発泡の白ワインと一緒に食べる機会も多いようです。

 

今回はスペインで愛される唐揚げについてご紹介しました。
どれも日本の唐揚げに引けを取らない美味しい料理ですので、ぜひ食べてみてくださいね。

駒井 真

仕事で疲れた日のおかずは唐揚げ、嬉しいことがあった日も唐揚げ。「今日のおかずは唐揚げにしよう」と思ってもらえるような記事を書きます。鶏天も好きです。