千葉県松戸市|しあわせのからあげキッチン|塩糀だけじゃない!生姜糀を使った発酵唐揚げ!ムネ肉唐揚げにも新展開が!?
生姜糀の唐揚げが登場
発酵食品ブームは唐揚げ界にも及んでおり、「発酵唐揚げ」を提供するお店も増えています。その多くは塩糀に鶏肉を漬け込んで作る「塩糀唐揚げ」。しかし最近、生姜糀を使った珍しい唐揚げも登場しました。それが味わえるのが『しあわせのからあげキッチン』。JR常磐線・北小金駅北口から徒歩3分ほどにある唐揚げ専門店で、テイクアウトやイートインで楽しめるほか、夜は居酒屋としても人気のお店で、自家製糀に漬け込んだ唐揚げを味わえます。今回は3種類の唐揚げを味わってみました。
生姜糀の効果か!?ムネ肉唐揚げがバリ旨!
まずは塩糀と生姜糀で味付けした「ムネ肉」。塩しょうが唐揚げといったところでしょう。衣はシャリッとした歯ざわり。片栗粉メインで、揚げる直前に小麦粉を加えるそうです。肉はムネ肉とは思えないほどに柔らかく、肉汁も十分でほっくりしっとり食感。こんなムネ肉唐揚げはなかなか遭遇できませんね。この柔らかい食感は糀のなせる業でしょう。漬け込み時間も完璧のようです。
しかもこのムネ肉唐揚げ、塩と生姜がベースになっているとは思えないほどに味にふくらみがあります。みりんも使用しているそうで、かすかな甘みもありますが、それ以上に深い。食べていくうちにそれが生姜糀によるものだとわかりました。生姜の風味が実にいい働きをしています。生姜…というよりジンジャーと言いたくなるほどに上品でクールな風味。これまでいろんなムネ肉唐揚げを食べてきましたが、これは私の常識にはなかった味です。進化を続けるムネ肉唐揚げが新たなステージに入ったような、そんな印象でした。これはムネ肉唐揚げ界の”勢力図”が変わるかもしれません。
ムネ肉唐揚げが美味しいお店はほかの唐揚げも美味しい。これは私の持論ですが、2種類のモモ肉唐揚げも美味。塩糀と生姜糀の「もも肉(しお味)」は、表面に瀬戸内の藻塩がふりかけられています。旨みのある塩味で、これがいいアクセントに。シャリッと食感の衣との相性もよく、大ぶりなサイズながら、ペロリと完食できました。「もも肉(醤油味)」は正統派の醤油唐揚げといったところ。塩糀とニンニク醤油で味付けしており、ごはんが何杯も食べられそうです。
厳選食材にこだわり、新たな味の創出にも積極的な唐揚げ専門店
味変用に数種類のソースがありますが、とくに人気があるという「油淋鶏」をセレクトしました。松戸産の「あじさいねぎ」を使用しているとのこと、これがとてもさっぱりしていながらも爽やかな美味しさ。ムネ肉や塩唐揚げとの相性もドンピシャ。ネギのシャキッとした食感もいい。唐揚げだけにはもったいない、サラダのドレッシングにも使えそうな味です。
さて今回のようにムネ肉とモモ肉、塩唐揚げと醤油唐揚げを食べる際、私はムネ肉→モモ肉、塩→醤油の順で食べるようにしています。こってりしたモモ肉や醤油唐揚げを先に食べると、あっさりしたムネ肉や塩唐揚げが物足りなく感じることがあるからです。またムネ肉は冷めると固くなりやすいため、先に食べるのがオススメです。
ところでこちら、国産の食材にこだわっています。松戸産のネギのほか、鶏肉は九州産、ニンニクは青森県産「ホワイトにんにく」、生姜は高知県産「黄金生姜」、醬油は千葉・野田市の「キノエネ醤油」と厳選しています。最近は原材料費の高騰で多くの唐揚げ専門店が苦しんでいますが「美味しい唐揚げを作り続けていればなんとかなると信じて頑張っています」とオーナーの木南誠司さん。力強くも頼もしい言葉、そのバイタリティーが生姜糀の唐揚げを生み出したのかもしれません。次に訪れたときは、また新たな味に出会えそうです。
(取材年月日:2023年7月19日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。