東京都文京区|からあげ八ちゃん|九州出身者なら懐かしさを覚えるかも?甘口醤油を使った唐揚げが味わえる!

 
東京メトロ千代田線・湯島駅の地上出口から徒歩数十秒の『からあげ八ちゃん』

鶏肉好き風土が生んだ九州風の唐揚げ

九州は全国的にも鶏肉の消費量が多く、鶏肉好きな風土はよく知られており、「鶏肉文化圏」とも言われることがあります。とくに九州の中心的都市である福岡・博多では、焼鳥や水炊き、かしわ飯などいろいろな鶏肉料理を楽しめます。もちろん唐揚げもそのひとつ。また九州醤油は甘いのが特徴で、お店によってはその甘口の醤油を使った唐揚げを味わうこともできます。

今回ご紹介する『からあげ八ちゃん』は、九州の甘口醤油を使った特製の漬けダレに3日間じっくりと漬け込んで作った「九州風の唐揚げ」とも言うべきものを味わえるお店です。

「からあげ定食」は7種類の味から好きなものを選べます。今回は特別に2種類の味を楽しませてもらいました(通常は1種類のみ)

ランチタイムの「からあげ定食」(850円)は、たれ・たれこしょう・たれ一味・たれ韓辛・たれにんにく・特製塩・特製ポン酢の7種類の味の中から好きなものをセレクトできるシステム。通常は1種類だけですが、今回は特別に特製塩とたれこしょうを一緒に提供してもらいました。

甘さ×しょっぱさ×肉の旨みの三重奏

特製塩(左)と、たれこしょう(右)

まずは特製塩からいってみます。箸でつまんで顔に近づけただけで、何とも言えないいい香りが漂います。九州出身の私だけでしょうか、不思議なほどに懐かしい香りに思えてなりません。東京ではなかなか遭遇できない香り。甘口醤油の風味によるものかもしれません。

特製塩。肉汁じんわりでこれが視覚的にも食欲を加速させます

揚げ物なのに油っぽさを感じない、爽やかで上品な香りに包まれつつ、ひと口頬張ればサ~ックリとした歯触りの衣。それがあっという間に肉と一体化しながら溶けていきます。醤油の甘さと塩のしょっぱさ、そして肉の旨みのまさに味の三重奏。「甘旨しょぱい」味わいです。飲み込んだあとも、肉の旨みが口の中でジンジンと味覚を攻めてくる、後を引く美味しさです。

たれこしょうはこってり甘辛旨い味。白いごはんが欲しくなる!

たれこしょうも、肉にこってり感を加える甘辛旨い味です。ちょっとピリッとくる刺激がいい。これは白いごはんは必須です。思わずごはんにのっけて食べてしまいました。

こちらでは1個150円で唐揚げを追加することができます。私が追加したのは特製ポン酢を2個。ポン酢のさわやかな酸味がさっぱり感を演出していますが、揚げたてのアツアツ感の中にポン酢の涼感が見事なコントラストとなっています。

特製ポン酢(2個)。アツアツの中にさっぱりとした涼感を与えてくれます

鶏肉の旨みを堪能できる「特製塩」がオススメ

普段関東エリアで食べている唐揚げとは異なっており、だからといって新発見の味ではなく、懐かしさを覚えてしまうこちらの唐揚げ。九州人であることを私に再確認させてくれました。イチオシはやはり特製塩。肉の美味しさもしっかりと味わえます。特製ポン酢も肉の旨みとケンカしない絶妙な「立ち位置」で唐揚げの美味しさをナイスアシストしています。

ところで九州は「からあげの聖地」中津や「からあげ専門店発祥の地」宇佐だけでなく、唐揚げの親戚ともいうべきチキン南蛮発祥の宮崎県延岡市などがあり、唐揚げ王国ともいえるかもしれません。九州で鶏肉料理が根付き、さまざまな形でそれが育っていった理由は諸説あります。アジア諸国と距離的にも近い九州は海外との交流も盛んでした。そのため海外から鶏肉料理法が流入していた、海外の賓客をもてなすための鶏肉需要があった、鶏の外来種の導入や品種改良が盛んだった…などなど。鶏肉唐揚げの発祥が九州だという根拠はありませんが、いずれにしても鶏肉料理が日本に根付き、それが愛すべき唐揚げに「昇華」されたことには感謝しかないのです。

(取材年月日:2023年7月25日)

からあげ八ちゃん

[住所]東京都文京区湯島3丁目33−9 小能ビル 1F
[電話]03-6284-2133

店舗情報 WEBサイト

松本 壮平

ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。