東京都葛飾区|からあげバル ハイカラ| 新潟特有の風土が生み出したご当地唐揚げ・カレー味の半羽揚げ

 
JR新小岩駅北口から徒歩数分の『からあげバル ハイカラ』。店名の「ハイカラ」とは「ハイボールと唐揚げ」に由来します
JR新小岩駅北口から徒歩数分の『からあげバル ハイカラ』。店名の「ハイカラ」とは「ハイボールと唐揚げ」に由来します

鶏の半身を豪快に揚げたご当地唐揚げ

鶏の半身を豪快に揚げた〈半身揚げ〉はモモ、ムネ、手羽元、ササミなど、いろいろな部位を楽しめて、ボリュームも十分。サイズも大きく、異なる複数の部位が混在するため、その調理法も一般的な唐揚げとは少々異なります。時間をかけてしっかりとていねいに揚げられた半身揚げは小さな骨までバリバリと食べることができ、独特の味と食感を堪能できるのでファンも多いようです。

半身揚げでよく知られるのは新潟県新潟市・三条市と北海道小樽市。いずれも地元ではソウルフードとして古くから根付いていたようです。とくに新潟県の半身揚げは”ご当地ならでは”な理由で独自の発展を遂げてきました。新潟県はカレー好きな県民性がよく知られており、カレールウの消費量も全国でも常に上位。”名古屋の味噌”のように、いろいろな食べ物にカレーを使用する風土があり、それが新潟のご当地唐揚げとも言うべきカレー味の半身揚げを生み出しました。

ハイカラのカレー味半身揚げを実食!

それを味わえるのが、今回ご紹介する『からあげバル ハイカラ』。新潟生まれのオーナー・大野太陽さんが研究を重ねて生み出した半身揚げがこちらの名物です。

名物・ひな鳥半羽揚げ。秘伝のスパイスで味付けし、3度揚げしています
名物・ひな鳥半羽揚げ。秘伝のスパイスで味付けし、3度揚げしています

いただいた「ひな鳥半羽揚げ」(1,089円)は、からあげグランプリ®の素揚げ・半身揚げ部門で金賞を7回受賞している逸品。「半羽揚げ」とは聞き慣れませんが「新潟では半身揚げを半羽揚げと呼ぶお店も多いんです」とオーナーの大野さん。1羽の半分(半羽)を揚げていることがその由来のようです。

お願いすれば、店員さんが食べやすくカットしてくれます。
お願いすれば、店員さんが食べやすくカットしてくれます。
食べ方のガイドを見ながら肉切りばさみを使って自分で切り分けてもOK
食べ方のガイドを見ながら肉切りばさみを使って自分で切り分けてもOK

目の前に運ばれてきたとたんに、カレーのいい香りが。カレー味をベースにした秘伝のスパイスで味付けしているそうで、これで胃袋が目覚めます。店員さんに渡された食べ方ガイドを見ながら、いざ”解体ショー”スタート。骨のあるモモ部分や手羽先を外したところまではよかったのですが、あとはもう…(汗)。どこがムネ肉でどこがササミなのやら…。しかし食べ始めると、そんなことはどうでもよくなります。どこも美味しい!食感でモモ、ムネ、ササミの区別はつきます。それぞれの美味しさが際立っていて、それをカレーのスパイシーな味がしっかり後押し。これは食べ始めると止まらない!衣はシャリシャリした歯ざわりで、カレーのピリッとした刺激が時間差で迫ってきます。これがまた美味。衣の段階ですでに美味しいとは、なんと完成度の高い唐揚げでしょう。とくに骨の周辺のコクの強さがこたえられません。

手羽元を外せば、肉汁がたっぷりと…
手羽元を外せば、肉汁がたっぷりと…

気が付けば骨だけが残されている状態。唐揚げの下に敷かれた千切りキャベツにもカレーの味が残っていて、これも美味しくいただきました。

手羽元。ここがとくに美味!骨のまわりに付いた肉は旨みがたっぷりです
手羽元。ここがとくに美味!骨のまわりに付いた肉は旨みがたっぷりです

大野さんによると「レシピは常に変えています」とのこと。たしかに以前食べたときに比べてコクが増している印象がありました。そしてこの半羽揚げ、新潟の味をそのまま再現したわけではなく、東京の人の味覚にも合うようにアレンジしているといいます。

「ハイカラ」の新しい挑戦

またこちらのお店では最近、熟成鶏肉の半羽揚げの提供を始めました。鶏の熟成肉とは珍しい。「味だけでなく最新技術を提案していくことも外食に携わる者のミッションのひとつ」だと大野さん。鶏肉を牛肉のように熟成させるのは技術的にかなり困難なようですが、試行錯誤の末にそれを乗り越えたそうです。次回来店した際には、ぜひ味わってみたいですね。メニューも来店するたびに増えていて、目移りのエリアが広がり続けます。「次に来たときはアレを食べてみよう」と思わせてくれるお店は進化を止めないお店なのでしょう。

(取材年月日:2023年1月27日)

JR新小岩駅北口から徒歩数分の『からあげバル ハイカラ』。店名の「ハイカラ」とは「ハイボールと唐揚げ」に由来します

からあげバル ハイカラ

[住所]東京都葛飾区東新小岩1-2-14
[電話]03-5875-7039

店舗情報 Webサイト

松本 壮平

ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。