東京都渋谷区|から揚げ専門店 黄鶏屋|唐揚げ×ハチミツ!研究熱心な店主が生み出した究極の進化系唐揚げ
唐揚げにハチミツ
ネット上でときどき見かける「唐揚げレモン論争」の文字。唐揚げにレモンをかける派vsかけない派の議論のことで、複数人で取り分けて食べる際のマナーの問題としても語られることも多い話題です。レモンの酸味がさっぱりさせてくれる…、いやいや、食感や風味が損なわれる…などなど、いろいろな意見が出ていますが、今回ご紹介する唐揚げはレモン云々をはるかに超越したレベル。唐揚げにハチミツをかけて食べるというものです。「ええ~~~!ハチミツぅ~~~!?」「そんなのアリ!?」なんていう声が聞こえてきそうですが、実はこれがかなりイケるのです。
それが味わえるのが『から揚げ専門店 黄鶏屋』。京王線・幡ヶ谷駅から徒歩5分ほどにある、明るい雰囲気のオシャレなお店です。目玉は研究熱心な店主の佐藤彬さんが生み出した3種類のトッピング。「レッドクラッシュ」「スイートチリ・フライドオニオン」そして今回のお目当ての「ハニーペッパーマスタード」です(イートイン各70円)。唐揚げはモモ肉、ムネ肉、ミックスの中から選ぶことができ、そのまま食べることもできますが、せっかくなのでハチミツ入りのハニーペッパーマスタードをトッピングします。唐揚げは最近こちらで人気急上昇中という「むね」(100g・イートイン290円)をセレクトしました。
まずは何もかかっていない状態で唐揚げを食べてみます。やや厚めの衣はサクサク食感です。ムネ肉とは思えないほどにやわらかくほっくりとした肉。何も言われずに出されたら、モモ肉だと思って食べる人がいるかもしれません。
プレーンで味わったあとは、トッピングバージョンを。ハチミツ×マスタード×ブラックペッパー、それが唐揚げにかけられています。見ためがかわいいですね。キツネ色の唐揚げが華やかになります。
いざひと口。衣の食感に大きな変化はありません。かすかにしっとり感が加わった程度でしょうか。ハチミツの濃厚な甘さがガツンと攻めて来るかと思いきや、それはありません。マスタードやブラックペッパーのビリッとした刺激に襲われることもなし。いずれも見事な脇役に徹しているのです。
味が劇的に変化して、もはや唐揚げではなくなるのではと思ってしまう人もいるでしょうが、それがないのです。ハチミツの甘みは、肉の味をまったく邪魔しません。むしろサクサク衣に心地よいトロリ感を与え、ほんのりとした甘さがいいアクセントになり、唐揚げの味を際立たせます。マスタードとブラックペッパーが全体の味を引き締めていて、あっさりとしたムネ肉にほどよいコクを生み出している印象。これは美味い!何個でも食べられそうです。
唐揚げと甘いものという対照的なものはケンカしてしまい、いずれの味もぼやけてしまいそうですが、それがないのが素晴らしい。こういう唐揚げの楽しみ方もあるんですね。唐揚げとハチミツの相性の良さが立証されました。百聞は一食に如かず、ぜひ味わってほしい進化系唐揚げです。
ムネ肉唐揚げばかり買っていく
さて、ここから余談。4月5日にオンエアされた『マツコの知らない世界』(TBS)では、当サイトの有野いくプロデューサーも出演し、唐揚げ特集が組まれました。その中で紹介されたムネ肉唐揚げがあまりに美味しそうだったのか「放送の次の日、来店されるお客さんは皆さんムネ肉唐揚げばかり買っていくんですよ」と店主の佐藤さん。しかもその日は「モモ肉を揚げた記憶がない」というほどのムネ肉デーだったとか。在庫のムネ肉が底をつきかけたため、慌てて追加発注したそうですが、それもその日のうちになくなってしまったそうです。
(取材年月日:2022年4月12日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。