東京都豊島区|一番唐揚げ|究極の進化系唐揚げか!? イタリアン風味の「チーズinからあげ」
食材や調理法に変化を加えて生まれる“進化系唐揚げ”が人気に
JR池袋駅東口から徒歩十数分にある「一番唐揚げ」
唐揚げという料理。食材面での構成要素は、究極的には肉、油、衣の粉、各種調味料といったところ。あとは調理法や調理時間が変動要素と言えるでしょう。各店舗ごとに、これらの限られた要素に独自の工夫を加え、オリジナリティのある味を生み出しています。大きな変動がないことが、唐揚げが長く愛され続ける理由なのかもしれません。
ところが最近は、唐揚げとは無縁と思われていた食材や調理法を加える動きも見えており“進化系唐揚げ”というジャンルも登場しました。日本唐揚協会主催の〈からあげグランプリ〉には“味バラエティ部門”もあり、進化系唐揚げは徐々に注目を集めるようになりました。
「チーズinからあげ」(1個・650円)。
野球のボールのようなサイズ感です
東京・池袋にある『一番唐揚げ』は元寿司職人の店主が営む唐揚げ専門店。こちらにはぜひ一度食べていただきたい進化系唐揚げがあります。その名も「チーズinからあげ」(1個・650円)。文字通り唐揚げの中にチーズが入っています。数量限定・要予約のテイクアウト商品で、私も予約して食べてきました。通常は袋入りで提供されますが、この日はお店のご厚意で、お皿とテーブルをお借りしてしまいました。
3種類のチーズにミニトマトが丸ごと1個。
これがイタリアンテイストを演出しています
チーズやトマトをムネ肉で包んで揚げたイタリアン風味の唐揚げ
オーダーから10分ほどで目の前に運ばれてきたチーズinからあげ。まるで硬式野球のボールのようなジャンボサイズです。何も言われずに出されると、メロンパンかと思ってしまうようなルックスでインパクト絶大。割ってみると、中からはチーズがとろ~りと。ミニトマトがいい色合いを演出しており、バジルの香りが食欲をそそります。モッツァレラ、チェダー、ゴーダの3種類のチーズに自家製のピザソースをからめ、ミニトマトを入れて、細かく刻んだムネ肉でしっかり包んで揚げています。
衣に歯を立てると、一瞬メロンパンを食べたときのような感覚が走ります。う~む、見ためだけではなかった!やや厚めの衣ですが、すぐにしっとりした食感の肉と混じり合います。ムネ肉ですが、特有の固さは一切ありません。チーズ、バジル、そしてピザソースが絡み合って、イタリアンな味わい。丸ごと1個入ったミニトマトは「シャクッ!」とした食感がいい!軽く酸味もあって、これがいいアクセントになっています。アツアツのチーズの中に、ひとときの冷感をもたらしてくれています。
食感、風味、香り、ルックス、どれをとってもこれまで食べてきた唐揚げとは明らかに一線を画すものでした。ハンバーガーやおにぎりのように、手に持ってかぶりつくのが定番の食べ方ですが、チーズがアツアツなのでヤケドにはご注意を。
成形や揚げ時間にもこだわっており、今でも試行錯誤中とのこと
家族でアイデアを出し合い、試行錯誤の末に生まれた「チーズinからあげ」
さてこのチーズinからあげ、店主の松原廣宣さんと妻の幸子さん、娘の礼華さんがアイデアを出し合い、生み出したもの。開発段階では、中までうまく火が通らない、全体が崩れてチーズがこぼれてしまうなどの苦労もあったようですが、衣を2重にする、ラップで茶巾絞りのようにくるんで成形するなど、さまざまな試行錯誤を繰り返して完成させました。店主の廣宣さんによると「今でも試行錯誤中」とのことで、より美味しくするために常に研究しているそうです。まさに進化する進化系唐揚げ。お店のメニューもお邪魔するたびに少しずつ増えており、新メニュー開発にも余念がない、進化するお店とも言えそうです。
(取材年月日:2021年10月23日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。