埼玉県三郷市|かしわ屋 新三郷|有名唐揚げ店の店主も絶賛する「鶏肉のプロ」が作る唐揚げとは
「三郷にある『かしわ屋』さんの唐揚げ、美味しいよ!」
そう話すのは、からあげグランプリでの入賞常連店のご主人です。唐揚げ好きならば誰もが知る有名唐揚げ専門店の店主の推薦ならば間違いナシ!そんなわけでおもむいたのは、JR新三郷駅から徒歩10分ほどの『MEGAドン・キホーテ 三郷店』。この地下1階の食品売場にあるのが『かしわ屋 新三郷』です。
できたてのお惣菜がズラリと並ぶエリアに凛とたたずむ同店。愛らしいニワトリのキャラクターとともに映える「大分のからあげ」という文字に吸い寄せられます。店主の堂園玲子さんは大分県日田市の出身。日田市といえば〈からあげの聖地〉と呼ばれる中津市に隣接する街で、古くから唐揚げ文化が根付いた地域です。
堂園さんの実家は『和田かしわ屋』という唐揚げ店。以前は『西邑養鶏直売所』という名前で養鶏業も営んでいた時期があるそうです。当時から唐揚げも販売していて「西邑の唐揚げ」として地域の人たちに親しまれていたんだとか。現在もその味に影響を受けたお店が市内に複数あるそうです。当然、堂園さんも鶏肉に精通している「鶏肉のプロ」。
唐揚げから感じる強烈な肉の旨み
こちらでいただいたのは「からあげ(プレーン)」「黒胡椒からあげ」「赤柚子胡椒からあげ」(各100g・250円)。いずれも1個約50gほどの大ぶりサイズの唐揚げです。まずはプレーンから。衣は少し厚めの印象ですが、余分な油を吸っているわけではなく、むしろ揚げ油にしみ出た肉の旨みでも吸収しているかのよう。ほんのり香ばしさもあって、大変美味な衣です。この唐揚げ、この時点ですでに100点満点で90点のレベル。さすが有名唐揚げ店の店主が推すだけのことはあります。肉の旨みがかなり強烈で、飲み込んだあともホッペタの裏から舌から上顎まで、旨みのエキスを塗りたくったように、留まる旨みに悶絶必至。飲み込んだはずなのに「あれ?まだ口の中に残ってた?」と思ってしまうほど。200点満点でもお釣りがきそうな美味しさです。
「黒胡椒からあげ」は刺激的なスパイス感があるかと思いきや、意外にもそれはひかえめ。ピリッと軽めの刺激が肉の味をうまく引き締めているといった印象です。
「赤柚子胡椒からあげ」は真っ赤なルックスで、見ただけで舌がヒリヒリしてきそうです。実際に口に入れると予想がそのままに、舌が燃えるように熱くなって額には汗が…。しかし旨みのある辛さで、ごはんに合いそうな美味しさがあります。こちらはこれら以外にも、鶏皮や砂肝、軟骨などの唐揚げもあります。とくに鶏皮はかなりの人気商品のようです。
研究熱心な唐揚げのプロたち
さて今回は「同業者が推す唐揚げ店」をご紹介しました。唐揚げ作りのプロが「美味い!」というほどですから、やはり美味いのです。こちらの唐揚げを食べれば、それがよくわかります。
唐揚げ専門店の店主は研究熱心な人が多く、私も取材で訪れたときには「いま、どこの唐揚げが美味しい?」「食べておいたほうがいい唐揚げってある?」などとよく聞かれます。ライバル店の動向が気になるというわけではなく、美味しい唐揚げを食べて、それに負けないものを作ろうという向上心・探究心を強く感じます。そんな店主がたくさんいるからこそ、唐揚げがどんどん美味しくなっていくのでしょうね。原材料費の高騰で閉店してしまう専門店が多い一方で、それに負けじと味を追求する店主も大勢いることは、私たち唐揚げ好きにとっては心強いかぎりです。
(取材年月日:2023年3月28日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。