東京都葛飾区|鳥焼縁|モモ肉とムネ肉が区別できないほどにジューシーな仕上がり!
焼鳥ならぬ“鳥焼”のお店で半身揚げを味わう

人気マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でおなじみの、東京は葛飾・亀有。JR亀有駅周辺には「両さん像」が複数あり、ちょっとした観光スポットにもなっています。その亀有駅北口を出て、マンガに登場した派出所のモデルになったのではないかとも言われる亀有駅北口交番の前を通過して、歩くこと2分ほど。やってきたのは『鳥焼縁』。焼鳥ならぬ”鳥焼”のお店です。焼肉の鳥肉バージョンといったところですが、こちら、実は鳥焼だけでなく”鳥揚”も名物。店主の石田和行さんは北海道の出身で、メニューには石田さんの故郷のご当地唐揚げ・ザンギのほか、半身揚げ、軟骨や砂肝の唐揚げなども並んでいます。今回はこのうち「若鶏の半身揚げ」(1,298円)をいただいてみました。

オーダーから20分ほどで、半身揚げの登場です。通常は食べやすくカットした状態で提供されますが、今回は特別にカット前のものも見せていただきました。お皿の上に、ほんのりキツネ色の半身揚げ。一般的な半身揚げよりもふっくら感があるのがわかります。針を刺すと濃厚な旨みが炸裂するのでは…などと思ってしまうほどの肉厚ぶり。旨みがパンパンに詰まっているんじゃないかと思ってしまいます。味変用のハニーマスタードとともにいただくことにします。

肉は食べる直前にカットしていただきました。肉汁にじむ断面からは、もうもうと湯気が立ち上ります。食欲を刺激するいい香り…。箸は使わず、直接手でつかんでかぶりつきます。私の場合、こういった半身揚げはムネ肉から食べるようにしています。「パリリッ…」という咀嚼音が骨伝導で脳内にこだまします。この音、たまりません。ムネ肉かと思ってかぶりついた肉ですが「あれ?モモ肉だったかな?」いやいや、間違いなくムネ肉。一瞬モモ肉かと思ってしまうほどジューシー食感のムネ肉に脱帽です。

唐揚げ旨さの決め手はオリジナルの“だし油”
店主・石田さんによると、揚げ前の重さが1kgから1.3kgほどの半身を使用し「カットする位置にも配慮している」とのこと。どの部分に切れ目を入れるかによって、熱の入り方も変わるのだそうです。揚げ油は肉の旨みが溶け出したオリジナルの”だし油”。半身揚げは塩のみの味付けですが、そのだし油のおかげで、豊潤で深みのある味わいに仕上がっています。

小さな骨ならばバリバリと食べてしまえるほどの見事な揚がり具合。大きな骨でもその周辺部分はとくに美味です。最初に肉厚な半身を見たときは完食への不安がよぎったのですが、食べ始めると一気呵成。あっという間に骨しか残っていない状態にしてしまいました。

さて石田さんがこちらのお店をオープンさせたのは2024年3月31日。それ以前は墨田区でイートインでもできる唐揚げの専門店を営んでおり、私も何度かお邪魔したことがありました。その当時からこの半身揚げが名物で、ランチの定食としても提供されていました。こんなボリューミーな半身揚げでご飯を食べるのは実にぜいたくです。店内のメニューを見ると白飯も提供されているようです。お酒を飲みつつ鳥焼を味わったあと、〆に白いご飯とこの半身揚げというのも、アリかもしれませんよ。

(取材年月日:2024年12月17日)

松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。