東京都台東区|せんから屋|ほっぺた落下に要注意?最高金賞受賞店が生み出した浅草の新名物「せんから」
せんべい×唐揚げというコラボ
東京・浅草―――。
都内有数の観光スポットであり、浅草寺を中心に多くの観光客で賑わう街。昨年と一昨年はコロナ禍の影響で人出も減少していましたが、今年に入って少しずつかつての賑わいが戻ってきています。
浅草寺の雷門をくぐって仲見世を少し歩き、伝法院通りの手前を右に折れると、人だかりのするお店が目に留まります。ここが今回ご紹介する『せんから屋』。からあげグランプリ・素材バラエティ部門で最高金賞2回、金賞2回に輝いた『ケンティーのからあげ』の姉妹店です。
「美味しいのでほっぺたが落ちないように気をつけてくださいね!」
という明るく元気な声が聞こえてきます。声の主は店主の橋口賢人さん。老若男女問わずこちらで買い求めるのは「せんから」という、せんべい×唐揚げというコラボメニューで、こちらの名物。同じく浅草寺の仲見世にある、明治17年創業の老舗せんべい店『壱番屋』の手焼きせんべいを衣に使った唐揚げで、最近注目を集めている、浅草の”新名物”です。
「せんから」を1個購入すると、ソフトクリームのようなカップで提供されます。これがまたオシャレでかわいらしい。かんざしをイメージした串も和のテイストで何とも粋で”浅草っぽさ”を感じずにはいられません。「食べ終えたら捨てずに持ち帰って、お弁当などで使うお客さんもいるんですよ」と橋口さん。たしかにこれは捨てるのはもったいない。
ザクザクとした新食感!
さて、さっそくその「せんから」をいただきましょう。ゴルフボールよりも少し大きめの唐揚げです。せんべいを使った衣はガリッとした歯ざわり。醤油の甘辛くも香ばしい風味が広がります。その衣に包まれた肉は対照的にソフトな食感。ザクザクという、骨伝導で耳に伝わる咀嚼音を聞きつつ、衣と肉がシャッフルされていくのを楽しみます。せんべいの香ばしさと肉の旨みが次第に溶け合いながら、美味しさの余韻を残しつつのどの奥に消えていくこの協演は実に新鮮。これは美味しい!間違いなく浅草の”新名物”です。
そしてもうひとつ、最近販売がスタートした「五色のせんから」をいただきました。こちらは衣に五色あられを使用しており「せんから」とは違った「シャリッ!」「フワッ!」とした食感です。やわらかい衣と肉との一体感は絶妙で、歯や舌をかすめる五色あられのつぶつぶ感がたまりません。それが肉と融合してすぐに消えてしまうのが名残惜しい。たしかにこれはほっぺたが落ちそうな美味しさで、食べ終えるやいなや1個しか購入しなかったことを後悔してしまうありさま。
橋口さんによると、せんべいと鶏肉、そして漬けダレの相性をしっかりと吟味して作り上げた唐揚げだそうです。今後は各地のせんべいと肉や漬けダレの相性を研究して、そこでしか味わえない”ご当地せんから”を作っていきたいと話します。どんな唐揚げが生まれるか、楽しみですね。
「せんから」「五色のせんから」はいずれも1個200円~。お店では最高金賞受賞の「ケンティーのからあげ」(4個・600円~)も購入できますよ。
(取材年月日:2022年5月24日)
松本 壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」大分県中津市。年間のからあげ摂取量は300食以上。『食楽web』(徳間書店)、『bizSPA!フレッシュ』(扶桑社)などでからあげの取材記事を担当する。